ニューオーリンズはアメリカ的であって、アメリカ的でない、そんな印象の町でした。学生時代にテネシー・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車(A
Streetcar Named Desire)」を読み、とても泥臭いイメージを持っていたのですが、実際にはフランスとスペインの植民地時代の文化とディープ・サウスが混じり合った香りがその風土や建築物に感じられるとても魅力的で面白い町でした。
ニューオーリンズの観光の中心は旧市街である「フレンチ・クォーター」です。ジャクソン広場を中心に広がり、そこここで大道芸人やジャズマンなどのストリート・パフォーマンスを楽しんだり、ロイヤル・ストリート沿いのアンティーク・ショップを冷やかしたりして楽しみます。夜になると、雰囲気は一転し、特にバーボン・ストリートにはニューオーリンズの地元料理であるクレオール料理のレストランや、名物のオイスター・バー、そしてジャズやR&Bなどのライブハウスがひしめき合い、様々な音楽が街に流れ出してきます。ニューオーリンズで最も有名なジャズスポットと言えば、「プリザベーション・ホール(Preservation
Hall)」です。かなり混雑するため早めに行って並ばなければいけませんが、中は小学校の教室ほどの広さで、演奏者と観客との距離はほとんどなく、息苦しいほどの熱気の中をスローで伝統的なジャズの演奏が行われます。
ニューオーリンズの町からミシシッピ川沿いを北西に向かって、南部時代の面影を残す大きな豪邸が今でも立ち並んでいます。ここはかつて、サトウキビ農園の地主たちが住んでいたエリアで、今は一般に公開されていますが、観光客もまばらなのもあって、庭を散策しながら『風と共に去りぬ』の世界に暫し入り込んでしまいました。
写真説明(カーソルを写真の上に置くと説明が現れます):
(1段目左から右へ)
ストリート・パフォーマー(ジャズバンド)、ストリート・パフォーマー(Sax Machine)、昼のバーボン・ストリート、夜のバーボン・ストリート、プリザベーション・ホールの入口、プリザベーション・ホールの舞台、ビッグ・バンド(プリザベーション・ホール)
(2段目左から右へ)
バーボン・ストリートを警備する警官、ジャクソン広場、ミシシッピ川、プランテーション時代の豪邸、セントルイス大聖堂、ストリートカー、夜のフレンチ・クォーター
ニューオーリンズの街を練り歩くジャズバンド
『欲望という名の電車』(1951年米)
原作:テネシー・ウィリアムズ
監督:エリア・カザン
出演:ビビアン・リー、マーロン・ブランド、キム・ハンター、カール・マルデン
「欲望という名の電車に乗って、墓場というのに乗り換えて」落ちぶれてしまった南部大農園の娘ブランチは、希望を求めてニューオーリンズに住む妹のステラのもとを訪れた。そこで待っていたのは、ステラの夫の粗野で暴力的な振る舞いだった。